研究内容

研究主旨

本研究室では、再生可能エネルギーを活用した持続可能な電力供給システムの研究を行っています。風力や太陽光発電の出力変動が電力系統に与える影響の評価や、分散型電源の安定運用技術の開発を進めています。また、地域の自然エネルギーを活用したマイクログリッドの構築や、蓄電技術を用いた電力の安定供給、さらにパワーエレクトロニクスや超電導技術といった先端技術の応用による、高効率で信頼性の高い電力システムの実現も目指しています。

研究課題

下記の領域の研究を行っています。

マイクログリッド概要図

研究方法

コンピュータを用いた研究

CPAT,XTAP,MATLAB,Simulink,PSCAD等のソフトウェアを用いて研究を行います。

capt

実験装置による研究

パワエレ実験装置、コンバータ実験装置、太陽光発電実験装置、小型風力・太陽光システムを含むクリーンエネルギー発電実験システム等を用いて研究を行います。

マイクログリッド概要図

注目のテーマ

ハイブリッドマイクログリッド

再生可能エネルギー発電には変動性と不確実性が伴うため、系統安定のためにはマイクログリッド技術が必要です。 本研究室が提案・構築したハイブリッドマイクログリッドの実験システムを用いて系統の常時安定運用のための研究を行います。

研究テーマ例は以下の通りです。


  • 複数の電力貯蔵装置(EDLC+Battery)の協調制御によるハイブリッドマイクログリッドシステムの電圧・電力安定化効果に関する研究
  • 太陽光発電+DC/ACインバータ+計測装置による太陽光発電システムの安定化制御効果に関する研究
  • 再生可能エネルギー発電やマイクログリッド用電力貯蔵装置の電力充放電回路及び制御に関する研究
  • マイクログリッドにおける燃料コスト最小化(単独運転時)または収益最大化(系統連系時)のための最適運用計画に関する研究
  • NNなどのAI技術を用いた太陽光、風力発電量の予測に関する研究
  • マイクログリッドを構築するための発電装置及び電力貯蔵装置の容量の最適構成に関する研究
  • EVまたは配電用電力貯蔵装置の充放電電力制御による配電系統安定化に関する研究
マイクログリッド概要図

次世代配電系統の電力品質悪化対策

再生可能エネルギー発電やEV、誘導モーターなどの変動負荷などが大量に導入された次世代配電系統においては、電圧上昇/変動や、力率悪化、高調波・三相不平衡による効率低下・故障頻発などの問題が挙げられます。 本研究では配電電力品質を改善するために、パワーエレクトロニクスを駆使した新電力機器に関する技術について研究します。

研究テーマ例は以下の通りです。


  • 配電電力品質向上のためのMMC回路を用いたトランスレス方式STATCOMに関する研究
  • SC+SVC+STATCOMの協調制御による配電電力システムの安定化に関する研究
  • 配電系統安定化のためのEVまたは配電用電力貯蔵装置の充放電電力制御に関する研究
STATCOM概要図

自励式HVDCを用いた洋上風力発電システム

日本はその地理的条件から、洋上風力に関して世界有数のポテンシャルを持っています。 ただし、日本近海は深度が深く、欧州のように沖に発電所・電力変換所・送電線などを建設するのは困難なため、海底ケーブルによるHVDC送電が有効です。 本研究では、自励式HVDCを用いた洋上風力発電の電力システム回路およびその安定化制御について研究を行います。

研究テーマ例は以下の通りです。


  • 洋上風力発電システムの構築及び安定化制御に関する研究
HVDC概要図

活動内容

卒業研究活動

・クリーンエネルギー発電、電力系統、パワーエレクトロニクス工学電力応用技術の基礎知識の学習
・平均2週1回の時間間隔で、勉強と研究調査(前半)及び研究成果(後半)を発表し、最新技術情報を把握しながら自主的な研究能力を育成する
・クリーンエネルギー発電装置や専用のソフトウェアを用いて研究を実施し、ある程度の研究成果を挙げ、身に付けた知識やノウホウなどは就職先でも役に立つ;また、自力で一部を開発することにより様々な問題点に直面し解決する過程で悩むことが成長にも繋がる
・良い研究成果が挙げれば、国内会議で研究成果の論文を投稿し、口頭発表することも可能

大学院研究活動内容

・電力、分散電源、制御技術、パワエレ機器、電力貯蔵、電気自動車などの専門知識を学習し、応用技能を把握する
・和文、英文文献の調査を行い、自分の研究課題に関する国内外の最新研究開発状況を把握したうえで、自主的に研究を実施し、定められた研究目標を実現するまで研究活動を一生懸命に行う
・研究活動を通して、独立な研究開発能力を育成し、さらに研究・技術開発の流れ、ノウハウを身に付け、今後の社会人としての活動に大変役に立つ
・研究目標を達成して、研究成果を挙げた際の達成感・充実感を味わえることで、今後何の仕事に対しても、責任感・自信感をあふれる性格を育つ
・研究成果を論文にまとめ、国内、国際会議、雑誌に論文を投稿し、口頭発表などができることは、大学院生だからそこ得られる勉強と成長の機会であり、大学院生の研究活動においてはとても大事な一環で、卒業のためにも必要な実績でもある。

マイクログリッド概要図