音波の伝播

 
  ● 音波の伝播

   周囲の流れ(流速)によって音波の伝わり方、すなわち、伝播(でんぱ)の仕方は異なる。
 以下に音源と流れ方向および座標の定義を示す。

音源と流れ方向および座標の定義

 音源を原点[0,0]として、 軸方向に 平行な流れが左から右に マッハ数 M  で流れると仮定する。
 まず、静止流体中を考えると、音は微小な圧力変動であり、音源から全ての方向に音速 で伝播する。 
下図において、緑線は軸線であり、音源はその交点にある。
 また、赤線は、ある時間刻みごとの伝播位置を示す円である(以降も同様)。

静止流体中における音波の伝播

 次に、M  <1の流れがある場合、すなわち亜音速流を考えると、音波面は上流側に (1−)の速度で伝わり、
下流側には(1+)の速度で伝播する。これを図に示すと、

亜音速流中(M  <1)における音波の伝播

となり、波面の間隔は上流側で密となり、下流側で疎となる。
ここで、観測者が流れとともに M  で移動すると上流側で高音、下流側で低音に音が歪む。
これは、ドップラー効果である。
 また、M  =1(音速流)の場合を考えると、以下のようになり、

音速流中(M  =1)における音波の伝播

音波は音源より上流には伝わらなくなる。この場合の音波面をつないでいくと
音源の点を含む流れに垂直な面(図で黄色の線)が形成される。
これをマッハ波 (Mach wave) と呼んでいる。
 さらに、M  >1(超音速流)の場合は、

超音速流中(M  >1)における音波の伝播

となり、音波面は下流に流されていく。これらの音波面で形成される面(図中の黄色の線)は
円錐状となる。これをマッハ円錐(マッハコーン) (Mach cone) という。 
音はこのマッハ円錐内でのみ伝播する。
このマッハ円錐の頂点の角度の1/2(すなわち、半頂角)をαとすれば、αは

で示される(M  >1の場合に成り立つ)。このαをマッハ角と呼んでいる。

 音波の伝播に関する演習[表計算ファイルのダウンロード]

 マッハ数(流速)を変化させて、音波の伝播に与える影響を学習・考察する。

 

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