グラフィックス入門

 
  ● コンピュータグラフィックス(CG)について

   近年、コンピュータグラフィックス(CG)がさまざまな場面で用いられている。
   ここでは、その入口として画像ファイルのフォーマットなどについて簡単に紹介する。


   画像ファイルのフォーマットとコンピュータ画面の画像フォーマットについて

    画像ファイルのフォーマットには大別してラスタ形式(ビットマップ)とベクタ(ベクトル)形式がある。

   ■ ラスタ形式 : 画像を点の集まり、すなわち、点の色情報として表現したもの。
              デジタルカメラの画像はほぼラスタ形式である。
              一度作成した線画やグラフを拡大するとギザギザ(ジャギーという)が目立ったり、
              縮小すると情報が失われるといった欠点も有する。
              画像のサイズ(画素数、ピクセル数などという)と色の解像度が決まれば、
              最大(=無圧縮)のメモリ(ファイル)サイズが決定する。

   ■ ベクタ形式 : 画像を線や円などの図形情報として表現したもの。
              
図形の位置情報の分解能が高い場合、拡大、縮小を自由に行えるので
              
フォント(文字の形)、地図(海岸線)、CADのデータに適している。
              
図形数が少ない場合にはメモリ(ファイル)サイズも小さいが、
              幾つもの図形を重ねることもできるのでメモリ(ファイル)サイズ
              の大きさが確定できないという問題もある。
              また、表示速度は、図形数やその複雑さに依存する。
              
ベクタ形式のファイルフォーマットの一部には、人間が理解できるテキスト形式をとるもの
              もあり、この場合、手修正で変更を行える余地が残されている。
            
    
コンピュータの表示画面自体の画像フォーマットは常にラスタ形式である。したがって、ベクタ形式の画像ファイルは
   表示する際にはラスタ形式に変換される(ラスタライズという)。
   近年のコンピュータではそれほど負担にならないが、フルカラーで画素数が多い
   画像のサイズはかなり大きい(例:640×480ドットでフルカラー[24bit]、無圧縮の場合:640×480×3バイト=0.9Mバイト)。

(12pt)

(48pt)



<= 12ptにおける画像を
  単に4倍に拡大したもの




 
 よく用いられる画像ファイルのフォーマット

    上で述べた形式(ラスタ、ベクタ)に沿って実際に画像を取り扱うためにはそのフォーマットを予め詳細にとり決めておく
   必要がある。形式を個人毎に設定することも可能であるが、不便であるので幾つかの共通フォーマットが普及している。
   以下に代表的な画像の形式を示す。

    ■ ラスタ形式

    BMP:  Windows標準の画像形式で、基本的に非圧縮画像形式である。
         多くのアプリケーションでサポートしているため、この形式を介在して画像の変換を行うことも多い。
    JPEG: 圧縮画像形式のひとつ。人間の目の特性を利用して、 色調変化の一部分を省略することで圧縮を行う。
         圧縮前の画像に戻すことはできないので不可逆圧縮形式である。
         一般のデジタルカメラはほぼこの形式で画像を保存できる。
         HPに使用できる画像形式である。
    GIF:  最大256色を扱える(若干の圧縮も施される)。HPにおいてロゴ、アイコンなどに使用される。
         透明色の指定が可能である。ただし、この形式は特許の問題を抱えている。
    PNG: 上記GIFの特許問題に対処するために開発されたライセンス・フリーの画像形式。
         圧縮率、扱える色数などにおいてGIFに優る。
         ただし、古いブラウザでは表示できないという問題がある。 
    TIFF: 基本的に非圧縮形式で用いることが多い。
        比較的高級なデジタルカメラに採用されている場合がある。 

    ■ ベクタ形式

    SVG: ベクタ形式の画像を記述するためのマークアップ言語。
         XMLに準拠しており、テキスト形式で記述する。
           EPS: アドビ社が開発したページ記述言語であるポストスクリプト(PS)の拡張版。
        PSは高品位の印刷目的に利用される。
    EMF: Windowsでサポートされているベクタ形式の画像フォーマット。


  ● エンジニアはラスタ形式とベクタ形式のどちらを用いるべきか?

     一昔前までエンジニアの世界では、CADによる図面、グラフ、等値線などを扱うことが多かったので、ベクタ形式が
   重要であり、ラスタ形式はその最終結果に過ぎないと考えられていた。しかし、最近ではデジタルカメラに
   代表されるようにフルカラーかつ比較的画素数の多い画像を簡単に撮影できるので、
   その画像を処理・解析して何らかの情報を得ようとすることも多くなっている。
     したがって、状況に応じて両者を適切に使い分ける必要がある。
   


  ラスタ形式あるいはベクタ形式を扱えるソフトウエアは?

   ■ ラスタ形式

     一般にお絵かきソフトと呼ばれているソフトウエア(Windowsの場合”ペイント”が代表例)はラスタ形式のみ取り扱う。
     線(直線)を描くことができるが、確定後、修正できないことも多い。

   ■ ベクタ形式

     CAD関連のソフトウエアは一般にベクタ形式である。ただし、その性質上(ベクタ −> ラスタの変換は容易)、
     ほとんどの場合ラスタ形式でも保存可能である。
     ”ワード”、”エクセル”、”パワーポイント”などにおいて”オートシェイプ”と呼ばれる機能を用いて
     描画される図形群はベクタ形式であり、自由に拡大縮小可能である。
   


  ● コンピュータで表現する色について

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