ここでは流れの一例として二次元急拡大流路(後方ステップ)内の定常非圧縮性粘性流れ(層流)を取り上げる。この流れはレイノルズ数(Re)の増加によって急拡大部にできるはく離渦の大きさも増加することなどが観察できるので、流れの数値解析入門時によく取り上げられる(例えば中山泰喜著「流体の力学」養賢堂P.225、数値流体力学編集委員会「非圧縮性流体解析」東京大学出版会P.118など)。以下に数値計算によって得られた流線の一例を示す。

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図 ステップを過ぎる流れの流線
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上では、はく離渦内(下図の赤色の部分)を除いた領域(下図の緑色の部分)において流線関数の値を等間隔で描いたものである(はく離渦内の流線間隔はその1/10)。よって、流線関数の性質を知っている場合は、どこで流れが速くなるのかは容易に把握できる。また、定常流であるのでこの流線図だけで十分なのである(各流線についてその値を明示する必要もあるが)。
しかし、これから流体工学を学ぼうとする者や流れ現象に関して興味を持ち理解しようと努めている者にとってはもっとわかりやすい表現法によって流れを観察したほうがよいであろう。その後、流線関数等の性質を理解すればよい。
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