圧縮性流れにおける無次元化支配方程式


  ● 2次元圧縮性流体における諸量の無次元化

 2次元圧縮性流体における諸量の無次元化式を以下に示す。
(無次元化方法は多種存在するので以下は一例である)

(24-1)
(24-2)

 ここで、 は直交座標、 は それぞれ 方向、 方向の速度成分、L は代表長さ、
は音速を示す。また、 は時間、は圧力、ρは密度、 T  は温度を表す。 
さらに、添え字 ” r ” 付きの諸量は参照(代表)値を示しており、
”*”つきの物理量は全て次元量であることを表す。
    
 粘度 μ と熱伝導率 λ も以下のように無次元化する。

(24-3)

 比熱比 γ および単位体積あたりの全エネルギー は 以下の関係式で表せる。

(24-4)
(24-5)
(24-6)

 ここで、Cp は定圧比熱、C は定容比熱であり、R は気体定数である。

 一方、状態方程式と音速の式は

(24-7)
(24-8)

であり、同様に参照値の場合には

(24-9)
(24-10)

となる。
 式(24-7)〜式(24-10)を用いると無次元化された音速、圧力、密度、温度の関係は以下のように表せる。
  (注:全てが無次元である場合に成り立つ関係)

(24-11)

 また、この場合、単位体積あたりの全エネルギー は 

(24-12)

となる。


 2次元圧縮粘性流れにおける無次元化支配方程式

   2次元圧縮粘性流れにおける支配方程式(NS方程式)は、
 エネルギー方程式、連続の式、方向運動方程式、方向運動方程式からなる。
 さらに温度を決定するために状態方程式を導入する。

  無次元化された支配方程式を保存型(conservative form)*1のベクトル形式で表示すると

(24-13)

となる。ここで、従属変数*2ベクトル および 非粘性流束ベクトル
および 粘性流束ベクトルを表している。
 その各ベクトル成分は

(24-14)
(24-15)
(24-16)
(24-17)
(24-18)

と表せる。また、

(24-19)
(24-20)
(24-21)
(24-22)
(24-23)

である。さらに、レイノルズ数 Re  、プラントル数 Prr 

(24-24)

で示される。
 また、圧力は式(24-12)から

(24-25)

となり、温度T  は式(24-11)[状態方程式]から

(24-26)

である。
 なお、従属ベクトルという用語からも察することができるように、本方程式(24-13)を解いて直接得られる
値は、 密度 ρ 、 方向質量速度 ρ方向質量速度 ρ、 単位体積あたりの全エネルギー である。
各計算点でこれらの値が求まれば、その点での圧力、温度などが計算できる。
 また、粘性に関する項を省略すれば、上記NS方程式はオイラー方程式となる。

*1 : 保存型方程式
     物理量が全て微分記号の中で示されている方程式。
     例えば、保存型方程式は

 

            であり、非保存型方程式は

     と表せる。両者は数学的には同じ(連続の式を導入した場合)であるが、差分表示では異なる計算結果となる。
     圧縮性流体計算では、一般に保存型表示が用いられる。
     
*2 : 独立変数と従属変数
      = f( ) における   はその値を自由に設定できる。一方、  の関数となっており、
       の値によって変化する。この   のような変数を独立変数、のような変数を従属変数と呼んでいる。


   

 

 

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