コンピュータプログラミングを学ぶにあたって

 

  ● コンピュータでプログラムを組むことの意義

 近年、コンピュータは、一般社会においても欠くことのできない道具となっている。
また、あまりにも多くの電子機器に組み込まれているため、その存在を認識している余裕すらない状況である。その組み込み型の小型チップでさえ、何らかのプログラミングがなされているために正確に動作するのである。例えば、テレビやビデオデッキなどの映像機器はもちろん、電気炊飯器や電子レンジもコンピュータによって制御されているのである。
このように、コンピュータの利用・応用範囲はあまりにも広いので、以後は、コンピュータの範囲をCPUをともなったワークステーションやパーソナルコンピュータなどの計算機に限定する。
 さて、いまこのテキスト(文章)をコンピュータを通してみていることと思うが、コンピュータは周知の通り、ハードウエアのみで存在し得ない。つまり、テキストを閲覧することができるのは相当なプログラミングがなされたソフトウエアがOS(オペレーティング・システム)上で動いているからである。なお、一般にパソコン本体はハードウエアに属するが、そのマザーボード(コンピュータの心臓部)にはBIOS−ROMと呼ばれる部分が存在し、その中にプログラムが組み込まれている。
 このようにプログラムという作業を行わなければ、ソフトウエアは構築されず、家庭用ゲーム機で動くゲームソフトも作れないのである。しかし、コンピュータが一般家庭においても単なる趣味の世界から脱した今、プログラムを組む必要のある人は非常に限定される(ソフトウエア会社のプログラマー、電子機器制御部の開発者など)。現在では、既存のソフトウエアの組み合わせのみでほとんどの要求を満たしてくれるからである。ただし、極めて特殊な領域の仕事にプログラムを導入すると作業効率が上がったり、時間的に不可能な処理が可能になったりする。エンジニアが行う研究・開発は一般の社会からみればそのほとんどが特殊な領域といえる。したがって、レベルの差こそあれ、エンジニアはプログラミング技法を学んでおくと有利である。ここでのプログラミングとは各種数値計算・数値解析などの専門的なものばかりでなく、実験装置の制御や、大量のデータ処理なども含まれる。

   ● プログラミング言語

 コンピュータのプログラミング言語(以下、言語と略)は、非常に種類が多く、一般にそれぞれの応用分野は異なっている。本授業でいう言語とは、コンピュータが最終的に理解できる機械語などを除いた高水準(高級)言語を示す。この高水準言語のなかでも、FORTRANは、科学技術計算分野で主に用いられてきた。また、C言語(あるいは単にC)はUNIXと呼ばれるOSの大部分を記述するのに用いられ、近年、多くの分野で利用されている。さらに、C言語をオブジェクト指向に拡張したC++言語や、インターネット上で用いるアプレットを作成できる言語JAVAなどがある。最近のパソコンで利用できる主な言語ソフト(書店で解説書が容易に手に入る)は、C++(C#と呼ばれるものもある)、Delphi(pascal系)、VISUAL BASIC(BASIC系)、JAVAであるが、この4つは全てオブジェクト指向型の言語である。

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