研究員紹介
乙藤 岳志(教養学部情報科学科)
これから何をしようか?




 現代の生活にとって、コンピュータ・インタ ーネットは必要不可欠なものとなってきています。それらの利用方法も、ここ10年で大きく変化してきています。例えば、スマートフォン(通称スマホ)が現れたのが2007年で、現在では、学生の大半がスマホでインターネットへのアクセスをしているのが現状です。

 利用者側から見てもこれだけ大きな変化が見えるわけですが、コンピュータ・インターネットの世界を内部的に見ていくと、大風呂敷を広げた言い方をすると30年ぶりくらいの大変革の真っただ中にあります。

・インターネットの住所にあたるアドレス(IPv4)が枯渇した(1970年)
・パソコンの最も内側の起動方法が変化している(1981年)
・パソコンからスマホへ(2007年)
・パソコン利用からクラウドへ(2008年)
・量子アニーリングを用いた量子コンピュータ(2013年)
 カッコ内は最初に現れた年を示しています。


(おとふじ たけし)
1973年 福岡県立修猷館高校卒業
1977年 名古屋大学理学部
    物理学科卒業
1985年 名古屋大学理学部助手
1986年 秋田大学教育学部助教授
2001年 東北学院大学教養学部教授

 このような変革が進んでいることを踏まえて、大きなトレンドとして、
・専門家が使う機器から、誰でもどこでも利用できるように、利用者が使用する機器が購入してすぐに利用でき、何もしなくても安全に利用できる電化製品になってきている。
・裏側で大きな変革があったとしても、利用者にはそのような変革が進行していることを見せないで、うまく移行させたい。
・新しいサービスがいくら革新的なものであっても、利用する側からは漸進したようにしかみせない。
が現状といっていいでしょう。

 今までは、パソコンやインターネットをつなぐ基盤的な仕組みについて、主にオープンソースソフトウェア(以降OSSと略記)を用いて研究を進めてきました。例えば、画面に表れるメ ッセージを日本語に変換し、日本人が利用しやすくする[1]、安全・安心なネットワークを構築する[2]などでした。

 しかし、最初に述べてきた大きな変化の只中にいる今、将来の研究テーマをどのようにしたらいいのか、現在悩んでいる真っ最中というのが実情です。アイデアにすらなっていない部分も多いのですが、今、考えていることをつらつらと書いていきます。

1.今までの延長線上で、インターネットのクラウド化、セキュリティの研究

 パソコンからスマホへ利用形態が変わってきたことをうけて、今までのネットワーク環境の利用の仕方が変わってきています。2013年にスマホのつながりが悪いといった事件が頻発しました。パソコンを中心とした利用方法が、スマホへ移行したために、インターネットの通信状況が変化したために発生したものです。

 また、パソコンで利用されるCPU/OSとスマホで利用されるCPU/OSが異なるために、守り方そのものも変化しなければ対応できません。さらに、アドレスの枯渇に対応する方法も常識にしなければなりません。

2.新しいユーザインターフェース

 スマホが現れて、パソコンのマウスからタッチパネルに変化しました。画面のスクロールを指示する際の方向が逆になったことを意識している人はあまりいません。

 新しい利用方法として以下のような例がすでに現れてきています。
・カメラを搭載し、顔認識をすることで、購入者に最適の商品を例示する自動販売機
・音声入力で質問に答えてくれる機能。
・カメラを用いてジェスチャによる入力。

 音声入力については、自動翻訳と組み合わせて、日本語でしゃべると、電話の向こう側では英語でしゃべるというようなことの基本技術は出来上がっており、2014年の間にテスト版が出てくるという話があります。ただし、最初の例では日本語はサポートされないのではないかと予想していますが…

 ジェスチャによる入力も、ゲーム機に付属の機器から出発していますが、さまざまなアイデアがだされており、第二世代に移行しようとしています。

 今後の方向性が決まらないままなのですが、以下の点だけははっきりしていると思っています。
・オープンソースを用いた開かれた研究。個人では、大きな計画を立案・実施するだけの、人手/予算がありません。また、世界的な最先端を追いかけようとすれば、インターネットを利用しない方法はないでしょう。
・チープな、あるいはニッチな、アイデア勝負の分野。予算がかからないが、アイデアで勝負できるところ

 本当は、学生がこのあたりに興味をもってくれると一番いいのですが、なかなか面白いと思わせることに苦労しているのが現状です。

[1] www.cs.tohoku‑gakuin.ac.jp/~otofuji/ETC/GCC‑L10n/index.html
[2] www.cs.tohoku‑gakuin.ac.jp/~otofuji/ETC/gpt.html


※ このページは、2015年3月刊行の『人間情報学研究 第20巻』に掲載された記事を元にしております。その後、略歴や所属等に変更がある場合がございます。


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