研究員紹介
岡﨑 勘造(教養学部人間科学科)
身体を活かす



 私は,福井県福井市で生まれ,岡山県の高校を卒業しました。「地元は?」と聞かれることが多いのですが,その時は,卒業した高校がある岡山と回答しております。甲子園などを応援するときは,現在住んでいる地域のチームを応援するようにしております。ただ,プロ野球は楽天よりも,近鉄(現オリックス・バファローズ)をひいきにしております。

 さて専門は,応用健康科学です。身体の健康に貢献する運動について,どれくらいの日本人が運動をしているのか,どのようにすれば運動を好きになってくれるのか,運動をしやすい環境とは,ということに興味をもって研究活動をしております。

 そもそも運動を学問として興味を持ったのは国語の授業からでした。授業では,“赤筋”,“白筋”を題材に取り上げ,ヒトの身体に関するものでした。当時,部活動に励んでいた私は,大松博文(東洋の魔女・女子バレー監督)のいうところの「根性論」に近い発想で鍛えておりました。ところが,その教科書には,ヒトの身体には赤と白の筋肉があり,それぞれ特徴を持ち,パワーや敏捷性といったパフォーマンスに影響すると書かれておりました。(ただ,国語の題材なので,最後の落ちは,身体を鍛えれば変わる=自分次第でヒトは変わるだったかと思います。)我武者らに鍛えていた私は,これを機に,試行錯誤しながら,身体を鍛えたのを思い出します。成長期のせいもあってか,みるみる身体が変化することに,つまりトレーニングの効果に興味を覚えた私は,その後,身体を活かすことを勉強できる大学へ進学しました。


岡崎先生の写真
(おかざき かんぞう)
2003年 筑波大学体育専門学群卒業
2005年 筑波大学体育学研究科修了
2010年 兵庫教育大学連合大学院満期退学
2010年 早稲田大学研究助手
2011年 東北学院大学講師
2013年 同大学准教授

 さて大学では,被験者1 名の実験をしておりました。良いと言われるトレーニングを行い,密かにアスリートとして生計を立ててやろうと意気込んでおりました。何とかなると思っておりましたが,何とかならない歴然とした差に気がつき始めたのは大学2 年生です。その自信が確信に変わったのは,大学3 年生でした。困ったことに,アスリートとして生計が立てられなければ,他の方法を考える必要がありました。多くは何となく受けていた授業ですが,ある授業(後の修士課程の恩師)に,感銘とまではいきませんが,記憶に残ることがありました。それが,健康寿命の延伸と運動の関わりでした。つまり,「ヒトの生物学的寿命のうち,自立した活動的な生活を維持できる期間」のために身体を動かすということが如何に重要な役割を担ってくるのかという授業でした。今までは,競技スポーツ(competition)の方向を向いておりましたが,健康寿命を延伸させるヒトの身体を活かすことに興味を持つようになりました。このことには,多少ではありますが,自分の親が高齢期に入りつつあったことも影響をしていたのかもしれません。健康と運動の関わりに興味関心を持つようになりました。

 さて,健康と運動をキーワードに研究するようになり,当時,既に運動は心身の健康に良いということが定説になりつつありました。現在では,生活習慣病予防として,運動をしましょうと至る所で言われております。大学の定期健康診断でも運動に関する問診がございます。ところで,運動とは何なのか?英語で書くと, Physical activity, Exercise, Training, Strength, Sports, Athletics,…など,多くの概念を混同することでしょう。私の身近な運動を専門としない知り合いは,多くが Exercise, Training, Sports を思い浮かべるようです。特に調べたわけではありませんが,多くが,「運動=鍛錬」として思い出されるのではないでしょうか。そうすると,運動をしましょうということは,鍛錬しましょうということで,それでは負担感が高まり,「めんどくさい」となるでしょう。事実,心理的負担感が運動を始めない大きな阻害要因のようです。

 それでは,どうすれば運動をするのでしょうか,あるいは運動を普及できるのでしょうか?それが研究のテーマとなっております。まずは,「運動=鍛錬」の意識を変える教育を重視することが大事だと考えております。最近では,普段の何気ない生活活動でも,積み重ねることで健康によいというエビデンスが見られるようになりました。特別に時間と場所を設定する運動が面倒くさいのであれば,普段の生活の中の活動で補ってしまえと言うことです。例えば,買い物,試合観戦,カラオケなども立派な活動として捉えられるでしょう。このように,多様性にとんだ運動の概念を教育することが,運動好きを増やすのに大事なのかもしれません。

 もう一つは,環境の整備だと考えております。例えば,田舎と都会では,どうも都会の方が運動しているようです。理由としては,田舎の方が,何でも車を利用する環境にあるからということが考えられます。町の環境が,運動実践者を増やすことに関連しているようです。アメリカでは,ランニング,ウォーキングのために歩道橋を整備し,信号や車などで立ち止まることなく,ずっと歩き続けられる環境を創った場合,歩くヒトが増加したとも言われております。

 現在は,子どもを対象に研究しております。昔に比べて体力低下が言われるようになり,子どもの健やかな育成に運動分野から貢献できればと考えております。喫緊では,被災地の子ども支援が必要であると実感しております。実際に,宮城県牡鹿郡女川町にて,子どもの健康支援活動に携わらせていただいております。運動をどれくらいできているのか,活発に動ける環境とはなど考えております。

 以上が研究員紹介となります。どうぞよろしくお願い致します。

※ このページは、2014年3月刊行の『人間情報学研究 第19巻』に掲載された記事を元にしております。その後、略歴や所属等に変更がある場合がございます。


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