研究員紹介
松澤 茂
(教養学部情報科学科)
コンピュータとの出会い



 ○ NEAC2200−500との出会い

 私とコンピュータとの出会いは1969年春4月、東北大学大型計算機センター(現在の情報シナジーセンター)の計算機室でした。そこには、日本電気のNEAC2200シリーズモデル500が複数台設置されていました。その当時の計算機室はバスケットボールのコートくらいの広さがあり、モデル500の計算機は大型冷蔵庫の数倍もある大きさの筐体でした。その時、この計算機とこれだけ長い時間つい合うことになるとは想像もしていませんでした。その時のセンター長は大泉充郎先生でした。大泉先生は、電子計算機および情報処理システムの研究では日本の最も重要なパイオニアトの1人です。当時、我が国最大の級のコンピュータとなった東北大学大型計算機 SENAC−1 の研究開発プロジェクトで中心的に活躍されていました。その大泉先生に、「日本電気府中工場に行ってコンピュータの勉強をしてきなさい」と言われたのがその年の9月でした。それから約3年間修行に出かけたのが私のコンピュータとの本格的な付き合いの始まりとなりました。

 当時のコンピュータと言えばIBM社の360シーズのコンピュータシステムが全世界の約90%以上のシェアを占めていました。日本ではこのIBMのコンピュータに追いつけ追い越せと複数の企業が熱くなっていた時代でした。

松澤先生の写真
(まつざわ しげる)
福島県会津若松生まれ
東北学院大学工学部電気工学科 卒業
東北大学大型計算機センター 助手
東北学院大学教養学部 助教授
東北学院大学教養学部 教授
現在にいたる

  府中工場では日本電気のコンピュータのソフトウェアとハードウェアの開発製造をしていました。私が配属されたのが、タイムシェアリングシステムを開発している部署でした。このシステムは日本電気、大阪大学、東北大学が共同で開発していたものでした。この部署は約200人を超える若い技術者が集まる大きな組織で、活気に満ちあふれていました。
 この別世界のような環境が私のコンピュータを本格的に勉強させてくれた、また現在の基礎を作ってくれた最高の場所となりました。

 府中工場に着いたその日に50冊を超えるIBMのマニュアル(当然すべて英文)を渡され、「勉強しておいてくださいと」の一言でした。まったくコンピュータを勉強していなかったので、コンピュータの仕組み、プログラミング、コンピュータの操作法など覚えなければならないことが山のようにありました。仕事は日本電気の社員と同じでプログラムのデバックに夜中の2時頃から出勤し、普通の社員が出勤する頃に、帰ったことは度々でした。このタイムシェアリングシステムの完成後、新たに、NEAC2200シリーズモデル700の基本ソフトウェアの開発に携わることになりました。このシステムのゼロ号機が東北大学に納入されることになっていたので、OSの基本部分と東北大学用に作成・変更しなければならない部分を担当することになりました。この頃には、コンピュータの仕組みやプログラミング技術も迷惑のかからないくらいになっていたので、開発している日々は本当に充実した時間の連続でした。このシステムの完成後、東北大学大型計算機センターに戻ってきました。

○ 東北大学大計計算機センター時代

 東北大学ではコンピュータシステムの運用、開発そして研究といろいろな経験をさせてもらいました。その主なものは

・大型計算機システムの性能評価
・画像処理システムの開発
・アナログデータ解析システムの開発
・データベース管理システムの開発
・人口衛星画像データの受信解析システムの開発
・衛星画像データベースシステムTAIDASの開発
・UNIXを用いた統合課金システムの開発
・日本衛星画像データベースJAIDASの開発

などです。

○ 東北学院大学教養学部

 教養学部に移っての主な研究は

・米国の気象衛星NOAAの画像データを用いた自然現象の解析
・衛星画像データから積雪域を検出するためのアルゴリズムに関する研究
・日本陸域衛星画像データベースN-LANDの開発
・教育支援システムの開発
・在宅健康支援システムの開発
・マルチメディア教材データベースシステムの開発
・インターネットを活用した文章管理システムの開発
・非接触型ICカードを用いた地域通貨システムの開発

などです。

○ 産学共同研究の主なものとして

(1)岩手県遠野市との共同研究研究

 携帯電話やパソコンを入力端末として、日頃の健康データを管理し、利用者の健康状態を把握して適切なアドバイスをすることができる在宅健康支援システムを開発しています。なお、このシステムは遠野市で平成18年度から試験運用されることになっています。平成17年11月の「第6回介護保険推進全国サミットin 遠野」でシステムの展示説明をしてきました。

(2)日本電気との共同研究開発

 インターネットを活用して、教員が課題を出題し、学生がレポートを提出することができるレポート管理システムを開発しています。さらに、教員と学生間で課題の提出などに必要なさまざまな機能も用意されています。なお、このシステムは製品かされることになっています。

 これからも、世の中に役立つシステムの研究を続けていきたいと思っています。


※ このページは、2006年3月刊行の『人間情報学研究 第11巻』に掲載された記事を元にしております。その後、略歴や所属等に変更がある場合がございます。


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