研究員紹介
杉浦 茂樹
(教養学部教養学科情報科学専攻)
人にやさしいコンピュータ環境



 近年のコンピュータとネットワークの性能の向上により、計算速度や通信速度などの量的な問題については、ほぼ解決されつつあります。一方、使いやすさや安全性などの質的な問題については、残念ながら未解決な問題も多く、未だ発展途上といえます。
本研究室では、質的な問題である「人にやさしいコンピュータシステムの実現」を目指し、理論と実践の両面から、学生と教員が協調しながら、日々研究に励んでいます。
現在、以下の3つのテーマを中心に幅広い研究に取り組んでいます。

(1) 研究開発活動における創造性の支援
(2) インターネットを活用した安全かつ円滑なコミュニケーションの支援
(3) 障碍者(しょうがいしゃ)や高齢者の積極的な社会参加の支援

本稿では、昨年度より本研究室の3・4年生と共に取組んでいる以下の3つの研究の概要について説明します。

・KJ法に基づく創造性開発支援環境に関する研究
・研究室情報管理システムに関する研究
・研究活動のためのコミュニケーション支援システムに関する研究

杉浦先生の写真
(すぎうら しげき)
1987年 宮城県立石巻高校卒業
1992年 東北大学工学部卒業
1994年 東北大学大学院情報科学研究科前期課程修了
1997年 東北大学電気通信研究所助手
1998年 東北大学大学院情報科学研究科後期課程修了
2001年 東北学院大学教養学部助教授 現在に至る
○KJ法に基づく創造性開発支援環境に関する研究

情報化社会の到来と共に、研究・開発で扱う問題の大規模化・複雑化が進んでおり、共同で行う知的生産活動や創造性開発の重要性が高まっている。
本研究では、ネットワークを利用して離れた人間同士が協調して創造性開発を行える環境の構築を目指す。ネットワークを効果的に活用することにより、多人数でより有効的に創造性開発を行うことが可能となる。
具体的には、代表的な発想法のひとつである「KJ法」に基づく創造性開発をJavaアプレットとして実現する。Javaアプレットとすることによって、Internet ExplorerやNetscape Navigatorなど一般的なWebブラウザ上で創造性開発を行うことが可能となる。

現在、@KJ法の主要な機能、A基本的なコミュニケーションのための文字によるチャット、B履歴の保存・再生、の実装を終了している。今後は、実装したシステムを実際に使用し、評価および改善を行っていく予定である。

○研究室情報管理システムに関する研究

大学などで研究活動を進めるにつれ、週報や参考文献などの情報(研究室情報)が次第に増え、蓄積された大量の情報の扱いが問題となる。
本研究では、近年急速に進展しつつあるWebデータベース技術を用いて、この研究室情報を電子化・共有化するシステムの構築を目指す。この結果、学生はより自発的に研究を進めることが可能となり、教員は効果的かつ効率的に指導することが可能となる。

具体的には、@個人情報(学生番号、氏名、住所、研究テーマなど)、A出席情報、B週報、C蔵書・参考文献情報、の4つの情報を対象として、収集・登録・蓄積・利用の機能を提供する研究室情報管理システムの構築を行っている。
現在、@個人情報管理システム、A出席管理システム、B週報管理システムの実装を終了している。今後は、蔵書・文献管理システムの作成、各種情報の閲覧および変更に対する認証の必要性の検討と認証機能の実装などを行っていく予定である。

○研究活動のためのコミュニケーション支援システムに関する研究

研究活動において、教員と学生、および、共同研究者との間でいつでも連絡を取り合うことができれば、効率よく研究活動を進められるようになることが期待される。しかし、実際には教員と学生、および、共同研究者との間には、空間的・時間的な制約があり、いつでも対話・指導が行える訳ではない。また、電子メールでは、対面での対話と比較して伝えられる情報がはるかに少ない。
本研究では、空間的・時間的な制約を解消し、より豊かなコミュニケーションを可能とするシステムの構築を目指す。

具体的には、@マルチメディアを活用して遠隔地と豊かなコミュニケーション(TV会議)を簡単かつ安全に行えるシステム、ATV会議での各種情報(会議ログ・会議資料)を収集・保存・整理し、週報などへ活用するシステムの検討と実装を行っている。
学外(静岡県立大学)との接続実験により、近年ネットワークセキュリティ向上の影響で、TV会議の実施には専門的な知識を要することがわかった。現在、これを解消するために、簡単かつ安全に世界中との通信を可能とするVPNに基づく接続基盤を導入した新たなシステム構成の検討を行っている。

将来的には、上記の研究などを発展させ、高齢者や障碍者などがコンピュータを使っていると意識しないで使えるようなシステムを実現したいと思っています。

※ このページは、2004年3月刊行の『人間情報学研究 第9巻』に掲載された記事を元にしております。その後、略歴や所属等に変更がある場合がございます。


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