数値計算・設計に使用できるプログラミング言語
(学習・実行環境)

2020/09/24

はじめに 

 
 数値計算・設計に比較的適しており、初学者が容易に学習・実行できる環境が整っている言語(系)として、C、C++、BASIC、JavaScript、Python、C#、JAVA、FORTRAN、Pascalの各言語を取り上げる。ここでは、実際のソフト名(あるいは環境)を挙げてその学習・実行環境を紹介する。

 ※ 特に記述がない学習・実行環境は、パソコン(Windows)によるものを示している。

 ※ 各言語の標準規格に対して市販のコンパイラ(プログラムソースを機械語に翻訳するソフト)に搭載されている言語は一般に拡張されているので”〜系”(例:BASIC系、Pascal系)と呼ぶこともあるので注意する。

C言語


 現在では、”C++”に移行しており、単に”C言語”が重要である場面は少なくなってきている。しかし、教育機関や企業では、UNIXマシンの標準搭載言語であるため、学習環境は整っている。一概にC言語を学んでからC++に移行すべきとはいえないが、基礎として学んでおくと他の言語へ移るのは容易である。ただし、数値計算を実行し、その数値結果を画面に表示する(あるいはファイルへ出力する)のみという目的に対しては敷居が高い言語であるので、初学者は注意されたい。

C++

 
 現在では、マイクロソフト社のVisual C++が最も普及している(無償で利用可能な版 [Visual Studio Communityなど] もある)。本ソフトは,パソコン(その周辺の機器も含む)では、事実上の標準開発ソフトと呼ばれている。これより、多くのパソコン用市販アプリケーションソフトは本ソフトによって開発されているようである。C++言語は、数値計算の数値結果を得るという目的のみでは、学習が比較的難しいものの、結果のグラフィカルな表示まで含めた場合には利点があるといえる。また、ルーチン(プログラムの一部分)の再利用に最も将来性がある言語と考えられる。
 なお、Visual C++ ではC言語のコンパイルもできる。

 

BASIC系

   
 現在では、マイクロソフト社のVisual BASICがコンパイラとしては普及している(無償で利用可能な版 [Visual Studio Communityなど] もある)。また、一般的なパソコンユーザーにおける認知度は低いものの、Microsoft Excel、Microsoft Wordなどには、マクロ機能としてVBA(Visual Basic for Application)が内蔵されている。実は、これを利用している人の方がコンパイラ版よりも非常に多いと考えられる。昔のBASICのイメージがあるため教育用言語としては取り上げられない場合が多い。しかし、実際には旧BASICからかなり拡張されており、本言語で構造化プログラミングを学習した後に他の言語に移ることは容易であると考える。さらに、比較的容易に数値計算プログラムを記述できる言語であるといえる。
 

JavaScript

   
 ほとんどのWebブラウザに搭載 されており、現在では、標準状態で実行可能な場合が多い。すなわち、パソコン、タブレット、スマートフォンなどで即実行可能であることから、最も導入に敷居が低いプログラミング言語となっている。
比較的容易に数値計算プログラムを記述できる言語であるともいえるが、多くの場合、実行速度は期待できない。
 

Python

   
 多くのパソコンで、無償で実行可能な環境を構築できる。比較的容易に数値計算プログラムを記述できる言語であるといえ、外部のパッケージを導入すると、さらに記述的・速度的にもよいシステムとなりえる。他の多くの言語ではグラフィックは別物というスタンスであるが、本言語環境では、外部のパッケージを導入によってより容易にグラフィックやグラフを描くことができる。
 

C#

 
 マイクロソフト社によって開発された新しい(2001年〜)オブジェクト指向プログラミング言語である。文法はC言語をベースとしており、C++やJAVAとも似た部分を持っている。Windows上で動作するソフトウエアを最も容易に開発できるといえる。例えば、プログラミング開始一日目で画像、音楽、動画などのマルチメディア・リソースを使用したソフトウエアを作ることも可能である。もちろん、数値計算にも利用可能であり、実行スピードよりも開発(記述)のしやすさやユーザーインターフェイスに重点をおくものを作成するのに便利である。同様に画像処理、解析ソフトも少ないプログラミング量で作成できる。
 

Java

 
 この言語は、無償で開発キット(JDK)を入手 (オープンソース版)することができる。ただし、開発環境を構築するには若干の知識が必要となる。この言語は、学習・開発環境が整えば、比較的容易に数値計算を実行したりグラフィカルな表示をするプログラムを記述できる。ただし、2020年現在、Webブラウザから実行できるJavaアプレットは終息へ向かっている。

 

Fortran

 
 現在では、ソフトウエア販売店でこの言語ソフトを見かけることは少ない(見つけても比較的高額)。また、書籍販売店においても一部の学習書を除いてはほとんど見かけなくなった。しかし、教育機関や企業では、あらかじめコンピュータ(UNIXマシンなど)に搭載されていることも多い。また、図書館などにも解説書等が残っているので、言語環境があれば学習可能である。なお、Fortran言語によるプログラミングは、他の言語を学習した後でも容易にできるので、他の言語を学んでいれば困ることは少ない(もちろん、文法などを把握する必要はあるが)。
  

Pascal系


 2020年現在、一般的な使用はほとんどされていない。 ただし、Object Pascalベースのプログラミング言語であるDelphiは改訂され続けて存在する。
   

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