事業概要・ご挨拶

事業概要

21世紀は「環境と生命の世紀」といわれています。今世紀およびさらにその先の世紀における人類の生存と福祉の増進を確かものとするためには、その立脚基盤となる地球環境と実際に人間生活が営まれるそれぞれの地域環境とを健全なものとして保全するとともに、人間の病気や障害の克服によっていかなる人も健常な生活を送れるようにすることが求められています。たとえば、地球温暖化を防ぐためのクリーン開発メカニズム(CDM)などの社会制度的取り組みと共に、わが国の温室効果ガス発生量削減技術や省エネルギー技術および自然エネルギー利用技術などの開発と活用は、地球環境保全と健常生活の実現にとって無くてはならない基本要素となっています。

東北学院大学においても、人間社会の福祉に貢献し新しい21世紀の産業を創造するための研究事業に取り組み、それによって地域社会の発展に貢献する大学として特色のある学術を創出することが求められています。平成21年度に文部科学省によって私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に採択された本事業は、本学工学部においてこれまで精力的に研究開発がなされてきた生物機能を利用して多様な環境問題を解決する科学技術である「環境保全バイオテクノロジー」と、現在新たに取り組みつつある「生体センシングテクノロジー分野」および「福祉・医療テクノロジー分野」の3つの学術研究基盤を統合的に確立することを目的としています。

この研究事業のテーマは、「環境保全と健常生活のための先端バイオテクノロジーの統合的研究」です。「環境保全のためのバイオテクノロジー」は、現在東北学院大学工学部において取り組まれている科学技術研究のなかでも特に高く評価されている分野の一つです。その研究の成果は国内外の学術雑誌および国際会議などで数多く発表するなど優れた研究業績をあげてきています。一方、「生体センシングテクノロジー」および「福祉・医療テクノロジー」は、新たに改組された東北学院大学工学部のすべての学科において新世紀の工学研究教育として取り組むべき重点的学術分野に取り上げているものです。これらの研究の目的は、本学工学部の教育理念(「人類の幸福と望ましい環境の創造に必要な工学技術を理解し、かつ自ら思考できる人物を育成すること」)に基づくものでもあります。

この研究事業では、今後の東北学院大学における高度な教育研究基盤を戦略的にかつ体系的に整備し、本学の高い教育研究ポテンシャルを活用して、21世紀の工学教育研究に必要とされるバイオテクノロジーの新しい学術研究領域を創出することを目指しています。

ご挨拶

地球環境や地域の環境を保全することと、健常な生活を送ることは人間の福祉にとってなくてはならないことです。東北学院大学工学部の教員・学生が一丸となってその目的を達成するために取り組む研究事業が、今回文部科学省によって採択された戦略的研究基盤形成支援事業です。この研究プロジェクトでは、人類の未来を確かなものとするためのバイオテクノロジー、特に地球環境や地域環境を健全に保全するための新しい環境バイオ技術と、ハンディキャップを持つ人であっても健常に社会的活動を行うことができるようにするための新しいバイオ技術の開発に、精力的取り組んできました。

この研究事業を通して、東北学院大学工学部で学ぶ学生の皆さんには、先端バイオ技術の知識と新しい知識情報を生み出す科学技術者としての能力を身につけてもらいました。国際的なシンポジウムや公開講習会・公開発表会なども企画し、学内外のできるだけ多くの皆さんに研究活動を知ってもらうとともに、その成果を社会に還元する活動を継続して行いたいと考えております。また、より多くの若い学生・青少年そして研究者・市民の皆さんにとっても意味のある研究プロジェクトを展開したいと考えておりますので、この研究プロジェクトへのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶といたします。

(研究代表者 東北学院大学工学部・教授 遠藤 銀朗)