2017「基礎購読」高野班

村上由美子『武器としての人口減社会光文社新書,2016

 


はじめに 3

OECDの東京センターにはパリの本部から様々な分析やデータが送られてくる。そのうち国際比較可能な統計に基づいて政策提言するのが筆者の仕事。

 またOECDは各国の政策を比較分析して,Best Practiceの共有も促進している。少子高齢化,女性の社会進出など,日本の課題に対して,欧州諸国のBest Practiceを取り言えることが解決につながるかも。

 日々多くの統計をみていると,いかに日本が伸び代の大きい国かを実感する。少子高齢化をすぐに反転させることは無理でも,その克服に必要な人的資源,社会インフラ,技術革新,財政基盤がそろっている国は,日本以外にない。日本の強みを効率的に活用するための社会システムを構築すれば,負の遺産の人口減少も,日本の武器になると考える。

 テクノロジーの進化によって世界経済が抜本的変革を遂げようとする現局面は,日本にはチャンスといえる。以下,OECDに集まる客観的統計を交じえて,この「チャンス」(の生かし方)について考えていく。

第一章 人口減少が武器になるとき

ICT -Al革命が仕事のあり方を変える

必要とされるのは定型化できない仕事

低い失業率がオートメーション化を後押しする

日本人のスキルはトップレベル

「人口ボーナスの時代」から「人ロペナルティーの時代」へ

小国からの教訓

 

【コラム】OECDの教育技能調査について38

 

第二章 眠れる「人財」大国・日本  41

埋もれた人材を堀り起こすとき

日本の中高年齢層は優等生

企業の世代間交流が多様性を生む

日本のニートは高学歴

出る杭を伸ばす

「人材」を「人財」に変えられるか

30代で幹部になる

アップ・オア・アウトのキャリアシステム

アマゾンの働き方騒動

ハイブリツド人事への道

労働市場の二重構造の解消

 

第三章 女性は日本社会のBest Kept Secret 73

古くて新しいウーマノミクス

女性がGDPを押し上げる

男女の賃金昇進格差の解消が急務

女性活用とイノベーション

日本の女性の実カと意欲

リケ女を増やすには

M字カーブに見る日本の損失

生涯賃金で考えるキャリア断絶のコスト

賃金格差が貧困を生む

賃金格差が解消すれば結婚したくなる?

One More Babyの壁

インフラ以上に重要な周囲の理解

機会均等実現には「ムチ」の議論が必要

ロールモデルの重要性

ロールモデルは女性とは限らない

日本の女性は Best Kept Secret

 

第四章 働き方革命のススメ 125

Time is Money

時間は有限資源

優秀なボスの条件

「もうビジネスデナーはしない」

人生の波を乗り切る働き方革命

高齢化社会で求められる多様な働き方

 

第五章 日本のイノベーション力を活かせ 149

世界中で鈍化する生産性

イノベーションの拡散メカニズム

イノベーション大国日本の実力

ビジネスのグローバル化とイノベーション拡散

海外直接投資を誘致する

日本企業の大半は「古い企業」

日本の競争力を妨げる強い規制

鍵を握るのはサービス部門

スマイルカーブの変化

アップルにできて日本企業にはできなかったこと

イノベーション拡散に必要な労働流動性

起業は生産性向上の源

起業家精神は子ども時代から育つ

少子高齢化は日本の勝機

 

おわりに 195